他律神経の日記

犬が好きです。

2021年7月24日 スパイ映画を観る、スパイが互いの腹を探り合う、私たちのように

 土曜日、晴れ。労働、夜から。

 深夜、『工作 黒金星と呼ばれた男』を観る。アクションシーンのないスパイ映画。スパイであることが露見するかも知れないという恐怖に一点集中したサスペンス。途中でコンビニで買ってきたものを食べようと思ったが、食べるために映像を停止するのが嫌になり、一気に見る。顔と顔の戦い。あるいは、また、普遍的な話でもある。ある人間とある人間とが協力することの、ありそうもなさ。夜明けとともに眠る。13時近くに起きる。しばらく犬と寝ながら過ごし、散歩に出る。ホームセンター近くの公園。6時近くになるとかなり涼しい。他の犬に何回か会う。今日は腹が鳴ったり、少し吐いたり、犬の調子がよくない。父に何か食べさせられたのかも知れない。父が家にいる日の翌日は大抵、体調が悪くなる。かわいそう。風呂に入ってから特急電車に乗って出勤する。労働強度は低めの予定。しかし既にして異常な眠気あり。夜勤は魂の毒だ。

2021年7月23日 生き物は横になっている状態が普通なのではないかという疑念、または人間はあまりにも直立しているのではないかという恐怖

 金曜日、晴れ。労働、朝から。

 起床後、即出勤。というのは嘘。ぎりぎりまで横になっている。縦になることはしんどい。原始、生き物は横になっているものばっかりだった。今日でも、こんなに直立している生き物は珍しいのではないか。レッサーパンダがたまに立ち上がるくらいだ。労働強度は低かった。通勤電車でカレル・チャペックの『絶対製造工場』を読む。これがかなり面白い。若干、透明なイデオロギーを感じる。しかしともかくSFとして不可欠な要素を持っている。帰路、喫茶店でアイスコーヒーと水を2杯飲んだ。暑すぎて気持ち悪い。帰宅後、犬と寝る。犬が母と散歩に出たあとも寝続ける。真夜中に起きる。コンビニへ買い物に行き、風呂に入る。最近、頭に常にモヤがかかっているように感じる。もう私は長くない。

2021年7月22日 エッセンシャル・レイバーに祝日はない

 木曜日、晴れ。労働、朝から。

 早く起きすぎてしまう。2時か3時。2度寝するには短い。そのまま出勤まで起きている。暑くてどうしようもない。エアコンが好きではないが、使わざるを得ない。首周りの汗が凄い。いつか溺れる。祝日なので始発電車には全然人が乗っていない。全然。少しは、いる。エッセンシャル・レイバーたちか、あるいは。労働強度は低かった。帰宅後、犬と寝る。起きて風呂に入り、また寝る。終わり。これ以上、何もない。街の何処にも明日、オリンピックの開会式があるような気配もない。斜陽。

2021年7月21日 意味もなくコンビニへ行くことを繰り返すことに意味がある

 水曜日、晴れ。休日。

 深夜、当然の如く眠れない。仕方なく映画を見ることにする。『KCIA 南山の部長たち』。その後、少しゲームをして、気絶するように眠る。朝方にまた起きて、部屋を片付ける。すぐにゴミが溜まる。労働中に溜めたゴミを、次の労働中に溢れ出ないように捨てる。これを繰り返している。吐き気がする。コンビニとホームセンターへ行く。犬と寝て過ごす。カレル・チャペックの『困った人たち』を少し読んだ。公園で犬の散歩。帰宅後、一人でスーパーへ。そして、またコンビニへ。意味もなくコンビニへ行く。休日を過ごした証が欲しいのかも知れない。夜、部屋の電気をつけっぱなしで1時間ほど眠ってしまう。

2021年7月20日 休息がなければ労働はない、緩急がなければ人生がない

 火曜日、晴れ。労働、朝まで。「休日」。

 労働強度は低かった。低かったとはいえ、定期的に作業は発生する。提出した某が誤っており、訂正依頼があった。本当に疲れていて、サボタージュして何かをするということもできない。サボタージュは意志の力が必要だ。ただ継続的に、常時、絶えず緊張している。働くふりをしている。吐き気がする。希望がない。最寄駅の喫茶店で朝食を摂ってから帰宅する。昼まで自室、昼から犬と寝て過ごす。母が2回目のワクチン接種に行った。私は犬と待っていた。母が出ていくときは、犬は、吠えるとは違う、泣いているような声を出す。母の帰宅後、自室で寝る。夕食は寿司。眠すぎて食べられない。またすぐに寝る。

2021年7月19日 ゴキブリが汚いのではなくゴキブリのいる場所が汚い

 月曜日、晴れ。労働、夜から。

 全然眠ることができない。食事をして、ゲームをして、小説をほんの少し書き、そのまま朝まで起きていた。朝になって犬と少し寝る。昼に起きて、自室で独りで寝た。起床即労働。先輩が遅刻した。人の遅刻に立ち会うことが多い人生だった。労働強度は低い。しかし昨夜は労働強度が少し高かったようだった。オリンピック開催が間近であるという雰囲気は街の何処にもない。何も変わらない。私のほうで、何か変化を感じ取ることができないだけかも知れない。オフィスビルの前でゴキブリをよく見るようになった。彼らは何処から生じているのだろう。少し考えたが、思いつかない。きっと、あのオフィスビルの全体が満遍なく汚いのだろう。その汚辱から彼らは生じているのだろう。

2021年7月18日 この世にはもう綺麗な鏡がない

 日曜日、晴れ。労働、昼から。

 深夜、『ラ・ボエーム』を読み終えた。いや、もしかするともっと前だったかも知れない。最終章だけ何だか読む気になれなかった。最終章のためにそれまでの章があるような小説だった。あるいは、最終章のために、それまでの章の読後感、解釈が変更を迫られるような。昼から労働へ。労働強度は低かったが、突然の依頼が2件ほどあり、若干、焦った。少しミスをした。ほんの少し。僅かに。安い弁当を食べる。こう書いて、安い弁当を食べたという記憶しかないことに気づく。カップラーメンと何かサラダだったか。人生を丁寧に生きていない。帰路、オフィスビルのガラスを鏡の代わりにしてダンスの練習をする少女たちを見た。喫煙所の近くでガムを踏んだ。この街は私の街ではない。帰宅。犬が疲れているのか、起きてこない。よく眠れるようになったのなら、良いことだと思う。