他律神経の日記

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DGR: グリーンテクノロジーは世界を救わない

 アメリカのラディカルなエコロジストの組織、ディープグリーンレジスタンスのホームページには「よくある質問」のページがあり、この団体の性格が非常によくわかって面白いので、いくつかまとめていくことにしようと思う。ここで私が面白いと言うのは、こういう理由である。すなわち、ラディカリストとは、あるロジックを徹底する者のことであり、そしてあるロジックの行き着く先を理解するための拡大鏡なのである。

 ディープグリーンレジスタンスは殆どグリーンな終末論者の集団であり、その基本的な立場は、これもいずれノートにまとめるが、現代文明は必然的に地球を破壊する生活様式であるため、地球が破壊し尽される前に現代文明を解体しなければならないというものである。それは拡大された自殺ではないか? と思う者があっても不思議ではないし、そしてそれは実際に拡大自殺だ。ディープグリーンレジスタンスの創設者デリック・ジェンセンは「よくある質問」の中で「産業システムを停止したら、都市に住んでいる人々が死ぬ運命に陥るのではないか?」という質問に以下のように答える。

誰かが「(文明を解体すれば)大勢の人が死ぬだろう」と言ったとき、私たちはどの人々が死ぬかについて話し合わなければなりません。世界中の人々がすでに飢饉を耐え忍んでいますが、殆どの場合、飢えで死ぬことはありません。彼らは植民地主義によって死ぬのです。何故なら彼らの土地と経済が盗まれたからです。世界では水が不足しているという話をよく聞きます。水は今でも昔と同じくらいありますが、人間が使用する水の 90 パーセントは農業と工業に使用されています。水が盗まれているため、人々は喉の渇きで亡くなります。

 ここては文明が解体されることで、既に殺されている人々が殺されなくなるということが書かれているが、さらに、後で、文明解体によって死ぬ人々の一人として自分に言及してみせる。

私はクローン病を患っており、ハイテク医薬品に人生を依存しています。薬がなければ私は死んでしまいます。しかし、重要なのは私個人の生ではありません。地球の存続は、私自身を含むいかなる人間の命よりも重要です。

 自らを否定するほどのラディカリズムがここに確かにある。これほどに急進的でなければオルタナティブが成立しえない、我々の文明の強さ、恐ろしさを我々は逆説的に確認することができる。ラディカリズムは拡大鏡になる。文明の臨界に触れるための、特殊な道具になる。

 さて、グリーンテクノロジーは世界を救うのか?

ソーラーパネルや風力タービンは何もないところから作られるわけではありません。これらは金属、プラスチック、化学物質から作られています。これらは地面から採掘され、輸送され、加工され、製造されています。各段階では、生息地の破壊、水質汚染、植民地化、有毒廃棄物、奴隷労働、温室効果ガスの排出、戦争、(そして)企業利益など、荒廃の痕跡を残します。

(中略)

いわゆる「再生可能エネルギー」やその他の「グリーンテクノロジー」は、最初から最後まで地球の破壊につながります。そうしたテクノロジーは過去 150 年間世界中で蔓延してきたのと同じ工業的な抽出および生産プロセスに根ざしています。

 よって、やはり文明の解体しかないということが結論されることになる。ちょうど人生に行き詰まった個人が自殺を考えるように、文明もまた自殺を考える段階にあると結論することになる。もしもその存続を望む場合は、ちょうど個人に自殺を翻意させるような困難と同様の困難が生じることになる。

 

 

参考資料

Frequently Asked Questions (FAQs) | Deep Green Resistance